フラーレンの用途・活用法~化粧品以外でも大活躍!~

フラーレンはエイジングケア化粧品で人気の高い成分ですが、実は他にもいくつか用途があります。昨今のフラーレン活用法と未来についてお伝えします。

フラーレンの構造と現在の用途・活用法

フラーレンは、炭素60個がサッカーボール状につながった構造をしています。フラーレンは自然界にも存在するのですが、とても希少なナノレベルの微小物質なので私たちの目には見えません。フラーレンの発見者は1996年にノーベル賞を受賞したほど、その神秘性とこれからの可能性には世界的な期待と注目が集まっています。

フラーレンとは?

化粧品

フラーレンの実用化研究は21世紀にかけて本格化し、化粧品には2005年から配合できるようになりました。すでにアンチエイジングケアの美容成分としては最高峰!との呼び声が高く、化粧水、美容液、クリームなどをフラーレン化粧品ですべて揃えることができます。
美容成分としてのフラーレンのスゴさは、なんといっても抗酸化力(抗酸化能)が飛び抜けていること。あのビタミンCの250倍以上もある抗酸化パワーが年齢を重ねた肌にもハリやうるおいを与えます。
なぜエイジングケアに良いのかというと、フラーレン構造は鳥かごのように内側が空洞になっているので、肌老化の原因となる活性酸素を内部に吸着させて消去できるからです。活性酸素は肌のトラブルメーカーであり、とくに紫外線で大量発生して肌の乾燥、シワ、シミ、ニキビ、肌荒れなどを引き起こしますが、その活性酸素をフラーレンが撃退し、透明感のある毛穴の目立たない健康的な美肌へと導きます。

有効成分アシストとしてのフラーレン

そのようなわけで、登場からまもなくしてエイジングケアの主役に躍り出たフラーレンですが、紫外線にめっぽう強いことから、他の美容成分を助ける名脇役としても活躍しています。
他の美容成分というのは、抗酸化作用のあるアスタキサンチンやビタミンC、ビタミンE、ビタミンA、コエンザイムQ10、リコピンなどです。どれも黄色から赤系の鮮やかな色に抗酸化力が備わっているのですが、もともと紫外線にデリケートで、壊れてしまいやすい性質があるのです。しかし一緒にフラーレンを配合すると、紫外線を浴びても色が残り、抗酸化力の消滅を防ぐことがわかりました。

左の写真の最上段を見ると、濃い赤色のアスタキサンチンがたった30分紫外線を浴びただけで色あせて抗酸化力を失ってしまうという、ショッキングな事実が分かりやすいです。これを食い止められるのは、紫外線に強いフラーレンだけ。だからフラーレンと他の美容成分を同時配合した化粧品は、エイジングケアにはベストだと言えるのです。

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美容皮膚科治療

実は、フラーレンの効果をいち早く評価したのは、美容皮膚科の先生たちでした。とくにフラーレンは美白や炎症に対する存在意義が大きいことから、皮膚科ドクターによる採用件数が数千件以上にものぼっています。

レーザー治療後の肌へのフラーレンの働き

出典:ビタミンC60バイオリサーチ(株)提供の資料(Ver.160502)の22頁より

上の図は、フラーレンの抗炎症力を確かめた臨床試験の結果です。
フラクショナルレーザーとは美容皮膚科の人気施術で、レーザー照射後に薬剤を塗って肌奥深くの線維芽細胞を活性させ、毛穴や小じわの改善、ニキビ跡や肌のくすみなどの美白効果を発揮するものです。左の画像のように、レーザー後は肌の炎症や赤みの発生が避けられませんが、フラーレンを塗ると回復が早まります。
この理由は、炎症には活性酸素が関与しているので、フラーレンが活性酸素を抑制して赤みを抑えるということと、炎症を引き起こすシグナルをブロックするからです。
つまり、フラーレンは日焼け肌のケアや赤ニキビのような炎症性の肌荒れにも有効です。フラーレンは抗炎症や日焼けケアにもすごく良いということを覚えておいてくださいね。

医療

フラーレンの抗炎症力は、研究者の間では美肌効果と同じくらいかそれ以上に素晴らしいと考えられているそうで、実際に、変形性関節炎などの治療薬として医薬品へ展開する研究もすすめられています。
フラーレンにはC60をはじめとして、C70、C82などの炭素数が異なるものもあり、どれも特殊な構造ゆえに、活性酸素以外の物質も内部に取込むことができます。そのため医療分野では、「金属原子を内包させたフラーレン」薬剤を作り、金属を体内に安全に届けるための研究がさかんです。たとえば、MRI造影剤にはガドリニウムという毒性の強い金属が使われているので、これをフラーレンで包めば従来よりも効率的に体内に届けることができるようになるそうです。ガドリニウムを内包したフラーレンは他にも、がん細胞の放射線治療に役立つ可能性が高いと言われています。

スポーツ用品など

フラーレンとスポーツ用品に関係があるの?と少し意外な気もしますが、バドミントンラケットの素材などに使われています。フラーレンは炭素のみで構成されるため安定性がとても高く、ナノレベルに小さくて丈夫で軽い物質ですから、スポーツをはじめさまざまな産業用品や部材に応用することができます。
例を紹介すると、

  • バドミントンラケットや、ゴルフクラブ(強度と弾力性、しなやかな反発性能を発揮する)
  • スキーやスノボ用の潤滑性ワックス(滑り続けても滑走性能が落ちにくい)
  • 軽くて強いコーティング剤(水素を一切含まないので安定した丈夫な皮膜になる)
  • カーエアコン用の潤滑油(超微粒子なのでフィルターが詰まらず、燃費効率を改善できる)

などなど。

フラーレン構造やナノレベルのテクノロジーが、強くてしなやかな構造体や安定した潤滑性をもたらすことがわかり、なるほど!と思えてきますね。

フラーレンの未来、活用

化粧品原料としてのフラーレンは、2015年に新しく「モイストフラーレン」や「ヴェールフラーレン」が発表され、新たな展開をみせています。

モイストフラーレンの未来

とくにモイストフラーレンは、化粧品に配合する前にビタミンC誘導体やアスタキサンチンなどと一緒にリポソーム化することができるので、美容成分を100ナノサイズという超微小レベルで肌に浸透させることが可能です。フラーレンの配合技術が広がったことで、未来のフラーレン化粧品ラインナップにも期待が膨らみます。ビタミンC誘導体やビタミンE、アスタキサンチンなどの抗酸化成分はフラーレンと同時配合したほうが持続するメリットがありますので、化粧品を開発する側としても、より効果的な組合せを考えられます。

フラーレン医薬の未来

ロシアのカレリア共和国だけで採れるシュンガイトという石にはフラーレンが含まれていて、古代から怪我や病気の治療に使われてきた伝説が残っています。フラーレンがもともと民間療法に用いられていたことを考えると、将来的にはフラーレンを飲用したりサプリメントとして服用したりできる可能性も出てくるかもしれません。
21世紀に本格化した医療分野におけるフラーレンの応用研究はまだ始まったばかりですが、すでにお話したように炎症性関節炎やがんの治療などに向けた研究がすすめられている最中です。世界的に有望視されているジャンルですので、フラーレンの将来的な貢献に引き続き期待することにしましょう。

産業用素材フラーレンの未来

産業分野では、軽くて使い勝手の良い有機薄膜太陽電池に有機半導体材料として使われる、フラーレン誘導体の研究も行われています。また、フラーレンはナノレベルに小さい物質ですが、それを組み立ててさまざまな産業用素材や大きな構造物に展開することもできます。フラーレンを用いたカーボン系複合材料といったナノマテリアルとしての開発研究もすすめられています。

いかがでしたか? フラーレンはエイジングケア化粧品の主役としてだけでなく、脇役としてビタミンC誘導体などをアシストする働きもしています。そして医療や産業分野での応用研究も活発に行われています。それだけフラーレンの構造や基本性能に大きな価値や可能性があるということでしょう。古代から人類と関わりを持っていて、未来への貢献も期待されているフラーレンって、改めてすごいですね。

取材協力・画像/データ提供
[ビタミンC60バイオリサーチ株式会社]
Vitamin C60 BioResearch Corporation

フラーレンを化粧品原料として製造販売する世界で唯一のメーカー。三菱商事の子会社として2003年に設立。

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